●「続・知られざる日豪関係」(813)

「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 ”新しい目と耳”


 十月二三日、彼らは一日中大きな送信機にかがみこんで格闘したが、汗が流れるだけで、機械は依然として動こうとしなかった。
 はるか上空には日本機の大編隊が轟音をひびかせて通りすぎていた。
 二人はついに諦めて翌日うんざりした気持でムンディムンディ農園に帰って来た。
 この仕事は明らかに通信の専門家を必要としているのだが、いちばん近いのは一五〇マイル離れたニュージョージア島のセギ・ポイントにいる監視員のドナルド・ケネディだった。
 二人のうちどちらかが拠点を守り、もう一人が送信機をそこまで運ばなくてはならなかった。
 しかし、そのためには輸送用のカヌー隊を編成する必要があり、さらに信用できる現住民の漕ぎ手を見つけなくてはならない。