●「続・知られざる日豪関係」(824)
「─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
”新しい目と耳”
一〇月二八日、緊張して待つこと一週間にして、なつかしいニック・ウォデルの声が無線で聞こえてきた。
彼とカーデン・シートンはチョイセル島北部のタガタゲラという小村に落ちついていた。
そこは西海岸から二キロばかり入った地点で、ブーゲンビル水道、ショートランド諸島、ベララベラ島をつらねるスロットの全域を見渡すことができた。
DEL局(彼らのコールサイン)は南ブーゲンビルの情報の穴を埋めるすばらしい価値を実証するにちがいない。
ジョスリンとキーナンはまだ連絡を開始していなかったが、送信機が故障する前に送った短い通信で、少なくとも彼らが無事にベララベラに上陸したことだけは分った。
その間にも、KEN局では、諸条件が少しずつ改善されていた。