●「続・知られざる日豪関係」(827)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
実力行使
やりすごしたあとジャングルの中に分け入ってみたが、遠くまでいくにはあまりに疲れ果てていた。
どしゃぶりで、蟻が手足に群がったが、彼は地面に横になると泥のように眠りこんだ。
その後の一一日間、レスリーはココナツの実を食べ、眠れる場所ならどこでも眠りながらガダルカナルの南西海岸を少しずつ下っていった。
この道を行けば友好的な現住民がいると聞いていたのだが、見かけるのは日本兵ばかりだった。
一〇月一〇日、彼がいつものように海岸を歩いていると、日本軍の宿営地の近くに現住民のカヌーが置き去りにしてあるのが目に入った。
無人の小屋からオールを盗み出すと、彼は丸太の蔭に隠れて夜を待った。