●「続・知られざる日豪関係」(829)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 実力行使


 レスリーはもう一度、注意深くもぐりこんで待ち続けた。
 しかし今度は新しい危険が生じてきた。
 ココナツの木が兵隊の重みでしだいにたわんで彼自身を押しつぶしそうになってきたのだ。
 はじめのうちは手でつっぱって日本兵を支えようと試みたが、そんなやり方ではとても長くはつづかない。
 ついに彼は、その男が居心地が悪くなって夕食を食べるのにもっとよい丸太に移ってくれるようそろそろと彼を下ろしていく作戦に切りかえた。
 やっと暗くなったので、彼はカヌーの傍へしのび寄ったが、日本兵たちは浜辺でくつろいで煙草をふかしたり、星空の下でおしゃべりをつづけていた。