●「続・知られざる日豪関係」(830)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
実力行使
彼はココナツの木にかくれるように移動してカヌーに乗り移り、漕ぎだそうとした途端に兵士たちは少尉を見つけたらしく大声で叫んだ。
引き返すわけには行かないのでカヌーを漕ぎに漕いで岸から遠ざかったが、日本兵は現住民だと思ったらしく、すぐに煙草をふかしはじめた。
その後の三日間、隠れたり探したりしながらレスリー少尉はゆっくりと海岸ぞいに南の方へ漕いで行った。
そして一四日の朝、彼は日本兵の影もない太陽の輝く静かな海岸へ着いた。
全く新しい世界が出現したように思われた。
浜辺にはカキがあり、陸地にはパパイヤ、バナナや甘いサツマイモが群生していた。