●「続・知られざる日豪関係」(837)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 実力行使


 彼らが言うには、日本軍が家や畑を荒しているというのに自分の村から離れて暮らしているのにあきあきした・・・・・・いつも逃げるばかりで、機銃掃射を怖れて魚取りにも行けない生活に疲れてしまったというのである。
 神父は襲撃してくる日本兵と戦って、殺すのは構わないのだと言ってかわそうとしたが、酋長は、
「ではどうしてやっつけるのですか」と尋ねた。
 彼らはマシュティと呼ばれる大型ナイフしか持っていなかったし、近代戦については何ひとつ知らなかったのだ。
「誰か、われわれに戦闘のやり方を教えてくれる人が必要です。
 それには神父様よりいい人がいますか。
 われわれは神父様をよく知っているし、信用もしています。
 きっと言う通りにします」と迫られたが、クラークはまだためらっていた。