●「続・知られざる日豪関係」(838)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
実力行使
今までのところは、正当防衛の場合だけ、現住民や伝道者や、二、三人のパイロットの安全をはかるだけの範囲で行動して来た、と弁明ができた。
彼はたしかに銃を肩にかけはしたが、標的を探しに出て行ったことはなかった。
そこで彼はふたたび、羊飼いと羊の群れの関係について考えてみた。
本当によい羊飼いなら、狼が襲って来たとき、ただ棍棒を使うだけでは満足しないだろう。
それでは遅すぎるかも知れないのだ。
もし狼がうろついていると分ったら、襲ってくる前に狼を追うにちがいない。
それにもっとも重要なことは、彼が教会の許しを得ていることだ。
司教自身が、九月の危機の際に先に射つ許しを彼に与えていた。