●「続・知られざる日豪関係」(842)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 実力行使


 一方タンガラレ戦線には前途の有望を思わせるもう一つの状況が生まれていた。
 一〇月二四日、二カ月ぶりに飛行機が二機不意に現われ、低空飛行で伝道所の上を旋回した。
 その時クラーク神父とダグ・グローはその場に居合わせなかったが、デイル・レスリーが大きく手を振って合図した。
 それに気づいたらしい飛行機は一枚の通信文を懐中電灯の電池にまきつけて投下した。
「君は誰か。宣教師はどこにいるのか。
 もし君がパイロットなら、ゴムボートと救命衣を示せ」と書かれていた。
 レスリーはボートを持っていなかったが、近くにあった予備のボートを示した。
 それを見た飛行機は戻ってきた。