●「続・知られざる日豪関係」(843)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


 実力行使


 今度はクラーク神父にあてた通信文であった。
 それはヴァンデグリフト将軍の情報将校バックレー中佐からのもので、これからの作戦に神父の援助を求めたいという趣旨で、
「OKなら腕を高く振って、だめなら腕を下ろしてそおのまま立っていること」とあった。
 もはや考えるひまもいらない簡単な決定だった。
 パイロットはクラークが手を振るのを見て、翼を振りながら僚機とともに飛び去った。
 その日の午後、二機はもっと長い通信文を持って帰って来たが、それは海兵隊ガダルカナルの南岸に上陸する時にガイドと人夫を提供できるかと聞いてきたものだった。
「もしイエスなら、白い十字いを示せ」とあったので、伝道所付属の病室から大急ぎで包帯を取ってきて十字を作った。