●「続・知られざる日豪関係」(844)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
実力行使
その日から忙しい一週間が始まった。
クラーク神父は人夫をそろえるため近隣の村々を訪れた。
飛行機はヘンダーソン飛行場から通信文をもって何度も往復を重ねた。
その間に急造の二〇人の”軍隊”は”猛訓練”を重ねていた。
タンガラレは忙しさと興奮の様相を帯びたが、それは一一月二日になって最高潮に達した。
その日、ローズの元偵察隊員の一人でツアクと名のる現住民の巡査が、ナラから四〇人の武装兵をつれて到着したのである。
ツアクの説明によると、彼らはそれまでに五五人の日本兵を殺しており、今からクラークの軍隊に加わりたいというのであっった。
神父は喜んで彼らを受け入れ、少年たちの寄宿舎を兵舎にあてた。
その結果タンガラレはますます兵営らしくなって来たのであった。