●「続・知られざる日豪関係」(847)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 リードの解釈では、ブーゲンビルのジャングルに奥深く入ろうとするなら誰も白い制服などは着ないだろうから今までは心配していなかった。
 だが今回の敵上陸部隊は全員が黒っぽい制服を着て、身の回りの品を持って降りて来たようだった。
 一人ずつ手荷物とライフル銃を肩にかけ、物資を運ぶ現住民の列を従えていた。
 リードはそれでも二日は拠点で頑張っていた。
 ポラポラの見張所は、いよいよ危険が迫るまでは放棄するに惜しい好地点だったからである。
 しかし、日本軍偵察隊が散開して前進を開始すると、彼は本部に対して、さらに山奥のアラビア村へ後退するつもりだと報告した。
 一一月六日のことである。