●「続・知られざる日豪関係」(850)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 あれだけの船団なら、ガダルカナルに一個師団は運ぶことができる、とリードは考えた。
 彼の直感は正しかった。
 船団には第三八師団の主力約一万二〇〇〇人が乗って、ヘンダーソン飛行場の奪還をめざしていたのだ。
 船団が一一月八日ショートランド泊地に到着したとき、下準備はすでに始まっていた。
 約一三〇〇人が七日に出発しており、別の六〇〇人が一〇日に出発の予定であった。
 部隊の主力は一二日に出発することになっていた。
 そしてこの時は駆逐艦輸送でこそこそとバラバラに運ぶかわりに、輸送指揮官の田中雷三海軍少将は駆逐艦一二隻で護衛した一一隻の輸送船で強行前進することになっていた。