●「続・知られざる日豪関係」(851)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
“東京急行”を撃滅せよ
泊地は大作戦のための艦船の往来が激しかった。
駆逐艦は忙しく出入りし・・・・・・タンカーが動きまわり・・・・・・補給船は輸送船に横付けし・・・・・・援護にあたる巡洋艦や駆逐艦が待機していたし、哨戒艇や舟艇がミズスマシのように走りまわっていた。
南ブーゲンビルのバルーゴに近い見張所で、ポール・メイスンは日本軍の泊地を静かに観察していた。
彼は日本軍の増強ぶりがいつになく急速で大規模なことに気づいた。
一一月六日、彼は三三隻の艦船を数えたが、一〇日までにその数は六一隻にふえた。
彼は『ジェーン海軍年鑑』を座右に備えており、その日彼が打電した概要は、おどろくほど正確だった。
そしてショートランド泊地に関するかぎり、それはこれまでで最大規模の集中であった。