●「続・知られざる日豪関係」(855)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 艦隊同士の戦闘が激しく続いている間に田中の大船団はスロットを下りはじめたが、海戦に巻きこまれるのを避けて、いったんファイジに引き返し、一三日夕ふたたび出撃した。
 天候が悪くてポール・メイスンは彼らが出ていくのを確認できなかったが、一四日の早朝霧が晴れ上がった時、彼は無線機にとびついて泊地が空っぽになっていることを伝えた。
 一四日は終日、米軍機が田中のひきいる一一隻の輸送船と一二隻の駆逐艦を攻撃した。
 ヘンダーソン飛行場からだけでなくエスピリツサント島のB-17、空母エンタープライズからの急降下爆撃機も加わり、攻撃につぐ攻撃がくり返される。
 夕刻までに一一隻の輸送船のうち六隻が沈み、一隻は大破してショートランドへよろよろと帰って行った。