●「続・知られざる日豪関係」(857)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
“東京急行”を撃滅せよ
二三日間の沈黙ののち、ベララベラ島にひそむヘンリー・ジョスリンのNRY局からの通信が再開されたのだった。
それはマッケンジー少佐の監視網における最大の穴が、埋まったことを意味した。
ジョスリンと言えば、この二三日間はぶらぶらと過すしかなかった。
一〇月二五日の夕方、同僚のキーナンを残し彼は故障した送信機をかついでビルアにあるメソジスト派の伝道教会へカヌーで出かけた。
そこにはA・W・E・シルヴェスター師がまだがんばっていた。
徹夜で漕いで行ったが、途中で一度日本の偵察機に見つかり、急降下して来たので、ジョスリンはあわてて椰子の葉の下にかくれた。