●「続・知られざる日豪関係」(858)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 しかし異常が認められなかったのか、飛行機は飛び去った。
 翌朝早くビルアについた時、シルヴェスタ―師はおどろきながらも喜んでジョスリンを迎えた。
 小柄でエネルギッシュで、きわめて厳格な性格のシルヴェスターは、一九三五年以来この地に滞在していた。
 彼はとても有能な牧師で、伝道所はしゃれた教会と付属の建物、優美な住居から成り、この付近ではきわだっていた。
 限界を越える者にに対してはピシャッとやっつけた。
 ともあれ、この流儀で牧師を中心としたなごやかな家族主義が成立していた。
 それにソロモン群島では、ベララベラ島の現住民ほど忠実で献身的な人々はいなかった。