●「続・知られざる日豪関係」(867)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
“東京急行”を撃滅せよ
ケネディは敏腕の組織者でもあって、元のマーカム農園を選んで、完全な活動基地とした。
食堂、兵器庫それに戦時捕虜を収容する建物までそろっていた。
彼はまた勇気と才気に富んだ指揮官で、きびしい訓練を励行するトレーナーでもあった。
のちにケネディの部下だった現住民の一人が、半ば冗談で告白したのだが、彼らは日本兵よりも親分の白人監視員を怖がっていたという。
だがケネディが確保していた信頼と資産は久しく”宝の持ちぐされ”だった。
戦局の焦点はブーゲンビルとガダルカナルにあり、セギ・ポイントは無関係だった。
そこは死んだような静けさの中にあった。
ともあれ、ジョスリンの来訪はケネディにとってありがたい気分転換になった。