●「続・知られざる日豪関係」(868)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 そしてケネディがゆっくりと送信機をいじっている間に、二人は責任地域を分けることを話しあった。
 ジョスリンはクラ湾から西方の地区全部を、ケネディは東側を受け持つことになる。
 送信機を点検したケネディはトランスが悪いと診断して、KEN局に新しい部品を一つ頼んだが、空中投下の時の衝撃でこわれてしまい、がっかりした。
 うんざりしたケネディはとりあえずジョスリンに自分の送信機を引き渡した。
 撃墜した日本の爆撃機から回収すればこわれた部品を補給できる、と計算したからである。
 一一月一一日、ジョスリンはベララベラ島へ帰って行った。
 来るときよりははるかに楽な旅になった。
 ケネディがランチを貸してくれたし、スロットの中の遠い回り道をとったので、日本の舟艇には出会わなかった。