●「続・知られざる日豪関係」(870)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 そこからは北と西の方向が広く見渡せるのだった。
 尾根の反対側、約四〇〇ヤード南に、彼はジョスリンと自分と無線機のための木の葉小屋を用意していた。
 日本軍が方向探知装置を使用したとしても、それを妨害してくれるかも知れぬ丘が前面にあった。
 はるか下の方、北西約三マイルのイリンギラに日本軍の駐屯地がはっきり見えた。
 キーナンは何度か偵察に出たが、一度五〇〇ヤードまで近づいて施設を注意深く観察して来たことがあった。
 波形鉄板の屋根のある大きな建物で、他に小型の貯蔵庫など・・・・・・また二本のココナツの木の間に見張台があった。
 台の上には大型の双眼鏡が立ててあり、キーナンは大いにうらやましがった。