●「続・知られざる日豪関係」(872)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 間もなく、現住民のカヌーが二マイル向うの大きな島から漕ぎ出して近づいてくるのが見えた。
 有効的か非友好的か? 判断する方法はなかったが、“金髪あたま”のソンダーズは、自分たちが日本軍の支配領域深く入りこんでいることは知っていた。
 そこで用心のため、搭乗員を木や茂みの後ろに隠し、最後まで戦うようピストルを準備させた。
 それから彼は話し合いをするため一人で岸へ出ていった。
 現住民はだれも英語が話せなかった。
 しかし彼がのどがかわいたという身振りをすると、そのうちの一人がリスのように木にのぼり、ココナツの実をいくつか落してくれた。
 それから彼らはカヌーに戻り、すぐに行ってしまった。