●「続・知られざる日豪関係」(873)
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より
“東京急行”を撃滅せよ
一時間たつと、また別のカヌーがやって来た。
ふたたびソンダーズは一人で出て行ったが、カヌーが近づくにつれて、その中に白人が乗っていることが分り、助かったとさとった。
ジャック・キーナンが岸におり立って自己紹介し、おそらく沿岸監視員の作法としては上等すぎるエチケットに違いないが、金髪のソンダーズに名刺を差し出した。
その朝新しい現住民が一人かけこんで来て、大きなアメリカの飛行機が落ちて、生存者が近くのバガ島にいるようだと知らせた時、キーナンは監視所で当直についているところだった。
ジョスリンが無線機のそばに残り、キーナンは救急箱をもって現場へ急いだ。
そして、不時着から三時間後の今はK糧食(レーション)と包帯を配っているという次第だった。