●「続・知られざる日豪関係」(876)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 川につき当ると、彼女はガイドの肩車に乗り、ほかのものはいつでも助けられる用意をして、一団になって渡った。
 渡るとまた長い徒歩行進がつづき、苦しい行軍になって三人のガイドははるかに遅れてしまった。
 彼女はようやく正午にスパトという小さな集落についたが、それまで実に一四マイル以上を歩いて来たのだった。
 ここでカヌーに乗りかえ、さらに海岸ぞいに登りつづけた。
 飛行機が頭上を徘徊していた。
 それはアメリカ機の爆音だったが、彼女は念を入れて現住民の傘をさした。
 ヘンリー・ジョスリンは、午後三時ごろ彼女がパラマタに着いたとき岸辺で待っていた。
 夜の間に彼はキーナンと交代して、見張所から降りて来たのだった。