●「続・知られざる日豪関係」(878)

「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より


  “東京急行”を撃滅せよ


 見た目にも痛そうなレヴィ中尉の姿を見て、マール・ファーランドはいよいよ出発するとき、いつものすばやい手さばきで、モルヒネを尻に一本打ってやった。
 注射一本するだけにしてはひどく長い行軍になったわけだが、はるかに重要なのはこの迅速な救出物語が、ジョスリンの仕事の有効さを証明したことである。 
 不時着事件がすぐに報告され、救助機がそくざにやってきたのは、見事な連携プレーと言うべきだった。
 それから六日後に東方八〇マイルの場所で予期しない日本軍の動きが起こり、それはふたたびベララベラ隊の有能さを証明する好機会となる。
 一一月二四日午後のことだったが、日本の軍艦が何隻か、ニュージョージア島の南西海岸ムンダ岬に近づくのを、二人のメソジスト伝道所学校の生徒が眺めていた。