2009-01-01から1年間の記事一覧
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ だがこの平和な場所にも危険がしのびよっていた。 日本兵はまだビルアに現われたことはないが、彼らは島の一部に進出しており、二、三日前にはゼロ戦が伝…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ しかし異常が認められなかったのか、飛行機は飛び去った。 翌朝早くビルアについた時、シルヴェスタ―師はおどろきながらも喜んでジョスリンを迎えた。 小…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ 二三日間の沈黙ののち、ベララベラ島にひそむヘンリー・ジョスリンのNRY局からの通信が再開されたのだった。 それはマッケンジー少佐の監視網における最…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ しかし残りの四隻はなおも前進を続け、一四日未明ガダルカナル沖に着いた。 田中はやっと海岸へ輸送船を誘導し、荷揚げを開始したが、その時ふたたび空襲…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ 艦隊同士の戦闘が激しく続いている間に田中の大船団はスロットを下りはじめたが、海戦に巻きこまれるのを避けて、いったんファイジに引き返し、一三日夕…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ 海軍は初期の戦闘で失った兵力を補充していた。 また後方基地との航路が確保され、増援部隊と補給物資が着実に島へ運ばれていた。 一〇月三〇日には、重…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ リードは報告している。 泊地に少くとも六一隻あり、すなわち那智型二、青葉型一、最上型一、木曽型一、竜田型一、特殊艦二、駆逐艦三三、貨物船一七、タ…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ 泊地は大作戦のための艦船の往来が激しかった。 駆逐艦は忙しく出入りし・・・・・・タンカーが動きまわり・・・・・・補給船は輸送船に横付けし・・・・…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ あれだけの船団なら、ガダルカナルに一個師団は運ぶことができる、とリードは考えた。 彼の直感は正しかった。 船団には第三八師団の主力約一万二〇〇〇…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ 見えるのは雨と雲と霧のたちこめるジャングルだけであった。 彼らは疲れて沈みこみ、自分たちが本当はどこにいるかも分らず、惨めな気分におちいった。 …
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ エリック・フェルトは了解して、移動を許可しただけでなく、折り返しリードへ無線封止を指令した。 日本軍が無線方位探知装置を使うかもしれないと予想し…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より “東京急行”を撃滅せよ リードの解釈では、ブーゲンビルのジャングルに奥深く入ろうとするなら誰も白い制服などは着ないだろうから今までは心配していなかった。 だが今回の敵上…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 7 “東京急行”を撃滅せよ そのころ日本軍を追跡することは、ジャック・リードの念頭にほとんど浮ばなくなっていた。 彼の主な関心は、いかにして彼らから逃れるか、だけであっ…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 以上が一一月四日、ディック・ホートンが何の前ぶれもなくラマダ号に乗って現われた時のタンガラレの状況であった。 彼はイサベル島とルッセル島に漂着したパイロット…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 その日から忙しい一週間が始まった。 クラーク神父は人夫をそろえるため近隣の村々を訪れた。 飛行機はヘンダーソン飛行場から通信文をもって何度も往復を重ねた。 そ…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 今度はクラーク神父にあてた通信文であった。 それはヴァンデグリフト将軍の情報将校バックレー中佐からのもので、これからの作戦に神父の援助を求めたいという趣旨で…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 一方タンガラレ戦線には前途の有望を思わせるもう一つの状況が生まれていた。 一〇月二四日、二カ月ぶりに飛行機が二機不意に現われ、低空飛行で伝道所の上を旋回した…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 そこで付近に住む二人の酋長に手紙を書いて、協力するよう招きよせた。 一人は断ったが、もう一人のジョー・ツルカイアは手伝うと約束をした。 神父の計画では、すべ…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 撃墜された連合軍の飛行士にはできる限りの援助を与えること・・・・・・“軍隊”に選ばれたものだけが武器を持つこと・・・・・・伝令組織を作ること・・・・・・夜は…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 危険はあの時よりもっと大きくなっている。 その時許されたことなら今は二倍も許されていいはずだ・・・・・・と彼は考えていた。 「よろしい」とクラークは代表たち…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 今までのところは、正当防衛の場合だけ、現住民や伝道者や、二、三人のパイロットの安全をはかるだけの範囲で行動して来た、と弁明ができた。 彼はたしかに銃を肩にか…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 彼らが言うには、日本軍が家や畑を荒しているというのに自分の村から離れて暮らしているのにあきあきした・・・・・・いつも逃げるばかりで、機銃掃射を怖れて魚取り…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 サラサラと風にゆれる樹々、きらめくサンゴ海、はるかな暗礁に砕ける波。 空をよぎって行きかう飛行機は、小さな銀色の点となり、何光年もかなたにあるように思えるの…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 わたしは歩いて家に帰って、銃をとり、それから射ちます。 かならず射ち殺しますよ」 伝道師のお説教としては異例の言い方だったが、効果は十分にあった。 ケサは走り…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 そして神父は必ずくるであろう窮乏と教会の防衛、秩序の維持に備えて緊張した日々を送っていた。 まず彼が直面したのは、現住民の反乱を防止する問題だった。 ケサと…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 「わたしの助言にはいつも従いなさい。 夜は明りをつけてはいけません。 ハンター岬やマラボボの日本兵に近づかないように。 わたしたちの敵を助けるようなことを決…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 すっかり疲れていたので、現住民の厚意に甘えて連れて行かれた小屋でアシの寝台にころがり、運ばれた魚や芋で腹を満たした。 住民の一人は少し英語が話せたが、近くに…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 レスリーはカヌーをそこにおいて、ふたたび歩きはじめた。 助けが近くにあるという思いに胸は高鳴った。 次の日の昼近く、泥道に足跡が見え、まもなく現住民の村落に…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 彼はココナツの木にかくれるように移動してカヌーに乗り移り、漕ぎだそうとした途端に兵士たちは少尉を見つけたらしく大声で叫んだ。 引き返すわけには行かないのでカ…
「 ─ソロモン諜報戦─ 南太平洋の勇者たち ウォルター・ロード/秦 郁彦訳」より 実力行使 レスリーはもう一度、注意深くもぐりこんで待ち続けた。 しかし今度は新しい危険が生じてきた。 ココナツの木が兵隊の重みでしだいにたわんで彼自身を押しつぶしそう…